ネタばれになるけれど、二ヶ月にもわたって凄絶極まる拷問を受け続けた人間が正気を保てるだろうか。実際、「精神は砕け、人外のものと成り果てている」と、書かれている。にも関わらずその後では全く正気に話し、考えている。歩けさえしている様子。理に適わないとしか言い様がない。いや、ベルセルクのグリフィスならいい、あれはファンタジーだから。これは違う。その残酷さを謂わば主題もしくは副題とした作品なのだから、いくら漫画だと言ってもその辺りを丁寧に理に適うように描かないのであれば、これは残酷描写ばかりを精緻でお耽美な絵柄で描いているだけの実に品のない作品と言わざるを得ない。