訳者さんの力かもしれませんが読みやすい。
講○社ノベルスの新本格勢あたりがお好きな人には、おそらくなじみの雰囲気です。
ジャンルとしてはサスペンスになるのかな?
殺人事件が軸になってはいますが、謎解き要素はなく、少しずつ判明していく状況と人物関係の移りかわりを俯瞰で眺める感じです。
日本の多くのBL小説のように恋愛メインではなく、登場人物の数名がナチュラルにゲイで、そういう話もふわっと自然に出ます。
だからよくある「男じゃなくてお前だから好きなんだ!」等々、日本のお約束(好きですけどね!)的なアツい描写はない感じ。彼らには息をするように当然の恋愛でしかない。
ので性描写もほぼなし。事後の葛藤なんかもなし。
BL業界で大変人気のある草間さかえさんの挿絵も入っていますが、小説にあわせて少し淡白に抑えたのかな?という印象のさっぱりした雰囲気です。
淡々としていますが、佳作の映画を観たあとのようないい読後感でした。
スラッシュノベル初心者の私にはとてもいい入り口でしたが、濃い性描写や恋愛メインの話がお好みの方には物足りないかもしれません。
とはいえ話はいいし、キャラ萌え要素もあると思います。アドリアンの厄介な男センサーたまんないな!
ちなみに最終巻が2015年末発売、全5巻予定です。