著者の前作を読んで惚れ、新作は時代もの、、と、出版社のPRが目に入ったので、早速ではあるが慣れない時代小説に挑戦することにした。
いやいや、興味がないとか、言葉が難しいとか、先入観を言い訳にしていたのですけれど、冒頭からぐいぐいと読み進んでいける。圧巻!
序章の落語調の長屋話で 輝かしい笑劇作家の経歴も持つ著者の真骨頂に魅了され、天下泰平の世の中に生きる武士道やら、粋な人情話やら 次から次へと流れ星のように迫ってくる。あっというまに7割くらい読了すると、こんな時代に生きてみたい、と、憧憬が湧いてくる。笑いからシリアスまで、懐深い技を秘めた筆力が、江戸世界のロマンを見事に描いていると思う。