中国思想の古典といえば、まず思い浮かぶのが孔子の「論語」ですが、「論語」が現実社会での道徳や技能の向上、出処進退のあり方など人間の生き方を中心に説いた人間社会学の書であるのに対し、今回取り上げられた「老子」は、人間の心のありようだけでなく、天地自然の成り立ち、万物の根源についてなど、自然科学的な視点から言及しています。この「老子」に出てくる「上善若水(じょうぜんじゃくすい)」とは、「最上の善は水のようなものだ」という意味ですが、日本酒の銘柄に「上善如水」というものがありますが、この「老子」からとったもののようです。