金継ぎを愛する人にまつわるエッセイと写真の本です。
センスの良い人たちの金継ぎとの出会いや、大切にしているものの話が大半です。
書き手さんの文体は、主観が強く個性的なので、やや好みが分かれそうです。
巻末では作業工程や材料一覧、用語集がおしゃれな絵で紹介されており、見やすくて良いのですが、P.86からP.93のように、実際に金継ぎをして見せてくれるページが多いといいなと期待していたので、その点で少し物足りなく感じてしまいました。
でもこの本は、表題の『金継ぎのすすめ ものを大切にする心』そのものの内容ですので、上記の期待は全く私の思い込みに依るものです。
いざ、これから自分で手をかけようという時の、最初の一冊ではないと思いますが、
もう一歩手前の「金継ぎっていいのかな」段階か、もう一歩後の、「もう少し素敵にしたいな」の時期ならしっくりきたのだと思います。
有名な器店の店主、陶芸家、金継ぎ作家の方々に丁寧に取材されています。
本書に登場したお店には行ってみたくなりました。
器のアップの写真が多く、そのどれも美しいので、見本写真集としても素晴らしいと思います。