夭逝した佐藤史生さんの復刻版です。この巻は非常に重い。人の愛憎、それの如何に深いか、更に切ないか、佐藤さんは下手な甘さなど排して描き切ります。この人は元来とても頭の良い作家。ただ感性のみでなく、文章にも見張るものが多々あり、本当に昔、今のように「マンガ」が世界的に流行し、秋葉原に外国の方が押し寄せたりするようになるずっと前に、これだけの世界を生み出していた漫画家が居た事を、一人でも多くの人に知って欲しい、漫画の持つ本当の力を感じて欲しいと願わずにいられません。

佐藤史生さんの初期作品は文学であると言っていい。 青猿シリーズはグレープフルーツを読んでいた頃からのお気に入りだった。 これだけ心理的な葛藤を絵に出来る作家さんは少ない気がします。 うっかり二度も買ってしまったので、一冊は贈り物にしようかな。 作品は星５個です、でもお値段でマイナス１。

佐藤史生さんの作品集の第三弾。収録されているのは新書館から発行されていたグレ－プフルーツ誌に掲載されていた短編がメインです。佐藤史生さんはＳＦで評価されていた方ですが、純文学的なものやファンタジー的な作品にも佳作が多く、この巻はそういった作品が集録されています。今読んでみても作品の完成度が高いためとても３０年近く昔の作品とは思えません。