「オノコロ島ラプソディ」、「ミステリ夢十夜」、「高原のフーダニット」の3編(12編?)からなる著者初の中編集。「ラプソディ」はいわゆる倒叙トリックもので遊び心満点。でも気真面目に読むと肩すかしを食わされます。「夢十夜」はいわずと知れた漱石の「夢十夜」のミステリー版。本格ものとは一風変わった味わいが楽しめます。掉尾を飾る表題作は、「フーダニット」(本格推理)と作中に登場する喫茶・食事処&インの「風谷人」とを掛けています。意外な犯人の意外な動機とは…?全編を通じ、「(倒叙トリックの特集は)あかんよ、それ」とかいって著者自身がひょっこり顔を出すのがとても愉快です。