伝説のロック・クイーンJanis Joplin。
インタビューとライブ映像から成るドキュメンタリー。
あれこれ寄せ集め繋げたような作品でながら、15曲収録されており、
Janisの歌声を充分に堪能することが出来ます。
ウッドストックやモントレー・ポップフェスからも選曲あり。
インタビューシーンは「気の利かない質問を繰り返すインタビュアーに、
投げやりに答えるエキセントリックなパブリックイメージのシンガー」
という一見よくある図式のようですが、
シンガーになる前の時期も含めた彼女の人生を考えると、重く痛々しい。
ただ、時に饒舌に発せられる彼女の言葉というのは非常に興味深いものがあります。
オフステージの彼女は、アルコール・ドラッグ・セックス、そんな生活でしたが、
この作品では特にそういった面を強調するような編集は為されていません。
音楽には真摯だった彼女。
スタジオでスタッフと曲の仕上げをつめている様子の映像や、
彼女が自分の音楽の理想・方向性などを語っている部分など、
ディーヴァとしてのJanisを記録してくれたことに感謝したいです。
Janisの歌は感情先行というイメージを抱いている方も多いかもしれませんが、
私は「人の魂に歌を響かせるテクニックを天から授けられた稀有のシンガー」だと感じます。
本当はあまりにも繊細だったというJanis。破天荒な振舞いは彼女の仮面だったのでしょう。
作品には勿論満足ですが、DVDの仕様には不満あり。
チャプターが酷い。区切り方が中途半端で、タイトル無しで画像のみというお粗末さ。
曲ごとのチャプターもないし、歌唱シーンには曲名の表示なし。
また、他サイトでのレビューで「歌詞の字幕がない」との大不満を複数目にしましたが
(過去にリリースされたVHSなどには付いている)、
個人的には、むしろ大歓迎。歌詞原文ならともかく“日本語訳”の歌詞字幕は、
物凄く邪魔だと感じていました。
不親切な仕様ですが、Janisファンとしては多くの方に見て頂きたい作品です。
スタジオテイクも良いけれど、やはりJanisはライブテイクが秀逸。
余談ですが、もしオールタイムのベストシンガーを挙げよと言われたら、
迷わずJanis Joplin、そして彼女が敬愛していたOtis Reddingと答えたいです。
Aretha FranklinでもRay Charlesでもなく、やはりこの二人。
悲しいことに二人とも、あまりにも早く逝ってしまいましたが・・・。