主人公は36歳のふたりの女性。政治家の夫と幸せな家庭を築き、さらに絵本作家としても注目を浴びる主婦の陽子。家族のいない天涯孤独な新聞記者の晴美。ふたりは親友同士であるが、共に生まれてすぐ親に捨てられた過去を持つ。ある日、「世間に真実を公表しなければ、息子の命はない」という脅迫状と共に、陽子の5歳になる息子が誘拐されたというストーリーだが、登場人物の描き方が薄っぺらい上に、どんでん返しとも言えないような、既読感がある最後。文章が薄っぺらい上に、書き方が稚拙で、途中から台本を読んでいるのではないかというような感じがした。「告白」のような深い人間の内面に根ざした人物描写がなかったのは、とても残念だった。