連続殺人を中国政府による“反政府主義者の処刑”と考えた警察上層部に翻弄される佐江たち。一方中国は、共産党の大物を日本に派遣し、事件の収束を図ろうとする。刑事、公安、そして中国当局。それぞれの威信と国益をかけた戦いは、日中黒社会をも巻き込んだ大抗争へと発展する。その結末はいかに。。。
*
主人公の新宿署の組対刑事・佐江、その捜査補助員で中国人の相棒・毛、外務省の美人職員・由紀、公安刑事・水森ら、登場人物の人生観が語られながら進行する推理サスペンスタッチの物語に、吸い込まれるように読みふけってしまいました。中でも、新宿鮫シリーズの新宿署刑事・鮫島のスマートさと違い、泥臭く見た目冴えない佐江のキャラクターが面白く、まさに犯人(獲物)を追い詰める狩人といった感じです。
13年ぶりに「狩人」シリーズの第3弾の本書を読みましたが、第4弾の”雨の狩人”も購入済みなので、読むのが楽しみです。
-----
■本書の基本情報
・筆者:大沢在昌(オオサワ アリマサ)
・略歴:1956年名古屋市生まれ。’79年「感傷の街角」で小説推理新人賞を受賞しデビュー。’91年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、’94年『無間人形新宿鮫4』で直木賞、2001年『心では重すぎる』、’02年『闇先案内人』と連続で日本冒険小説協会大賞、’04年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞、’06年『狼花新宿鮫9』で日本冒険小説協会大賞、’10年に日本ミステリー文学大賞、’12年『絆回廊新宿鮫10』で日本冒険小説協会大賞、’14年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞。
・発行:文藝春秋
・発売:2012年7月(第2版)
・ページ数:552p
■これまでに購読した大沢在昌の著書
・「砂の狩人」(上・下) … 2005年8月(初版)
・「新宿鮫」 … 第1巻:2008年8月(第42刷)~第10巻:2014年11月(初版)まで
・「撃つ薔薇」 … 2009年12月(第18刷)
・「流れ星の冬」 … 2009年12月(第28刷)
・「極悪専用」 … 2018年6月(初版)
・「黒の狩人」(上) … 2016年4月(第5版)本書