明治維新の前夜、浪人の息子から、その才能や真面目さを認められ、川路家の養子に入り、天性の素質が開花し、とんとん拍子に出世するが、運が良かったわけではない。困難な事件が発生するたびに、その才能が認められ、難問を託され、見事に解決していく。大岡裁きが有名ですが、国際紛争の種になるような難問を、きめ細かな事実確認と聡明な発想で問題点を整理し、解決していく。特にロシアの外交上の恫喝に一切萎縮することなく、対等に渡り合い、むしろ相手を納得させる様は痛快です。最後は、政争に破れ不遇の時代を迎え、江戸城開場の日に、自殺するに至るが、その生き方からすると、心情が理解できるものである。最後の武士といえよう。