裁判員制度は、3年後に必要に応じて見直すと、「裁判員法」で規定されていて、法務省が設置した有識者の検討会が、制度見直しについて現在検証しているところです。量刑に市民感覚が反映しにくい「覚醒剤事件」や被害者のプライバシーの保護が必要な「性犯罪事件」を、裁判員制度の対象から外すかどうか、裁判員を務めた人たちの「守秘義務の緩和」などが、見直しを検討する主題として上がっています。
また、日本弁護士連合会も、見直しのための委員会を設置し、被告人が起訴の内容を争い、希望すれば裁判員制度の対象とすることや、「有罪か無罪」の評議と「量刑」を決める評議を分離して行うことなどを検討しています。今後、市民を交えて議論が本格化する見通しです。制度の見直しに向けては、一人でも多くの市民が、裁判員制度を自分たちの問題として考え、幅広い議論を行っていくことが必要ではないでしょうか。
さらに、冤罪を生まない審理のため、取り調べの「全面可視化」の実現と検察官の「使命や役割を示す基本規定」に沿った取り調べをすることなどが待たれます。また、裁判員の市民も「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜(むこ)を罰するなかれ」と、いう刑事裁判における鉄則を忘れずに裁判員裁判に臨んで欲しいものだと考えさせられる書籍です。