ものを買うのは好きでも、形あるものを捨てるのが苦手で、気付けば家中ものがあふれる我が家。どうにかしなくては…と思いつつ、最近流行の「モノを捨てる」片付け術にはどうしても違和感があって、日々の忙しさを言い訳にしながら過ごしていた私が、通勤電車の広告で見かけたことからこの本を購入し、週末の1日で読んで1日で考え方と部屋の一部が変わりました。
近藤さんの考え方は、ものにはすべて命が宿っていて、そのものを取り巻く家=「おへや」を大切に思うことが片付けの基本だということのようです。家にある「もの」は自分が持ち込んだ結果に他ならず、その「もの」との関係を正面から向き合って消化していくことが片付けという行為だといいます。確かに今まで、ものを捨てるときには「なくてもいいもの」として心を鬼にしながら処分してきましたが、近藤さんは「自分に○○をしてくれてありがとう」と感謝してさよならの儀式をすることをすすめています。
本来、この片付けの儀式は一気に行わなければいけないルールなのですが、今日私は時間の関係で「部屋着」と書いたダンボール箱にだけ手をつけてみました。引っ越しの時に詰めたままの服が何年もクローゼットの奥で眠っていました。学生時代に海外旅行に着ていったカットソーやニット、一目惚れして買ったけれど色落ちがひどくて数回しか着なかった真っ赤なパジャマ、1枚1枚手にとってそれぞれの思い出を振り返りながら「ありがとう」と言ってさよならしました。今までに感じたことがない服への感謝の気持ちが出てきて、思わず涙があふれてきました。読み始めのときに「大げさだな~」と思ったことが自分にも起こって正直驚きました。これから夏までを目標に、片付け(=ものをより大切にするためにときめくものを残す儀式)をしようと思っています。ちなみにこの「ときめく」を基準にものを判断するという一見曖昧な取捨選択方法が実は一番的確な基準だと言うことも納得できたし、近藤さんの「とにかく何も考えずに捨てるということには反対」という心にはとても共感できて買ってよかったと思う本でした。