「ペップトーク」とは、直訳すると「元気を出させる励ましの言葉」だが、ルーツはスポーツの試合前にロッカールームで監督から選手たちに贈られる「激励のメッセージ」。
本書はそれを、スポーツ現場だけではなく、ビジネスの現場でも活かそうという発想の元に書かれている。
そのため、とても論理的に書かれているところが素晴らしく、また理解しやすい構成になっている。
欧米人に比べて日本人は、言葉で部下を説得したり、指導したりすることが下手なように感じるが、本書では、部下のやる気の障害となっているものを取り除き、ポジティブな気持ちで仕事に取り組むための思考転換(イメージのパラダイムシフト)を2~3分のスピーチでやってしまおうというものである。(著者は究極のショートスピーチと表現している)
相手の潜在意識の中にある不安要素を取り除き、成功のイメージと自信を持たせてやる気を引き起こし、行動につなげるというスポーツ現場での心理をメカニカルに解析して、ビジネスの指導現場に持ち込むという発想は、著者も書いている通り、まさにビジネス・コーチングでも最終仕上げのスキルであることは間違いないと思う。
いずれにしても、コーチングが上陸してかなりの月日が経つが、ペップトークというスキルが日本で紹介されていなかったこと自体が不思議なくらいである。