この本は、城山三郎さんの「鼠」とセットで読むと、非常に良いと思います。
城山さんの作品が店で働くものの目線と感じ方から描いてあるのに対して、玉岡さんの著書は、「お家さん」と珠喜と云う二人の女性の視点で書かれた鈴木商店の物語です。
玉岡さんの本では、城山さんの作品には描かれていない珠喜と云う女性の存在が大きなウェイトを占めていますし、城山さんは描かなかった、田川や珠喜らの台湾でのストーリーが描かれています。
と云う訳で、両方を読むと、鈴木商店と云う、先駆的でありながら古い体質も持っていた稀代の総合商社の姿が、より立体的に頭の中で像を結んでくれます。
とても読み応えのある作品です。