世代間格差について考えるとき、まずは憲法に保障されているように、勤労の権利と健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があるという基本的人権を、全ての国民が享受できる社会を目指すべきだと思います。
そう考えると、現在の雇用問題や企業社会の問題、政治の体質も憲法に反していると思いますし、メディアの論調も自己の利害以外に何を根拠に主張しているのか理解できないものが多いのは残念な限りです。
年金に関しては単独の数値だけで見ると世代間格差は大きいのですが、50年前の大卒初任給は1~2万円で物価も1桁違う時代でしたので、それを考慮すると収支が1桁違っていても現時点ではそれほど世代間の不公平感は無いように思います。厳密には平均所得や物価、社会の既存インフラの資産価値などを考慮して補正したような評価指数が見てみたいです。
しかし、今後はこのようなペースで給与が伸びることは難しいと思いますし、年金制度の財源確保には既にかなりの無理がありながら、一方では非生存高齢者の家族らによる不正受給が多数発覚していますので、このまま制度を改革しないとしたら問題です。現在の受給者に対して給付額をカットしないならば年金制度の強制加入は止めてもよいと思いますし、バブル世代など恵まれ過ぎている層には負荷を掛けるべきで、それでも財源が確保できないならば年金制度全体を廃止してもよいと個人的には思っています。
雇用問題にしても社会保障制度にしても若者にツケを先送りしているのは確かなので、問題の本質は政治の在り方、高齢者や権力者達の道徳観や倫理観でしょうか。格差社会や競争社会を肯定するならば、まずは憲法に謳われている基本的人権を国民全体に対して現実に保障できているような基盤を整えてから、そうした競争システムを社会に加味するべきだと思うのです。それが勝った人の義務と責任ではないでしょうか。