読み終えた今、智也と容子、犯罪者と警察官、医者と看護師と受付嬢、生者と死者・・・登場するみんながこの物語の続きを今もきっとどこかで生きてるんじゃないかって思います。奇想天外の怪事件、ホラー、ミステリー、サスペンス・・好奇心をそそられる物語なら、いくらでもあるし、これまでも読んできたけれど、それはどれも人間たちの謎ときであり、人間たちの仕組んだからくりでした。この小説で起こる出来事も人間なしには考えられないけれど、でもそこに焦点が当たっていない物語を読んだのは初めてです。これほど登場人物たちになりきって、そこに好き嫌いや善悪すらぶっ飛んでしまったのも初めてです。最後には涙があふれてくるのだって、愛や命のすばらしさ、そこに込められてる意味（価値観）に感動したわけじゃないです。もっと深い、その背景にある、この世界（生命）すべての謎に斬り込んでく問いに感電したんじゃないかって思います。小説の中で次元を飛び出してしまうように、この小説はもう小説を飛び出してるんじゃないかって思います。「理屈なんかもうたくさんよ」「なぜかなんてわからないのよ」って容子が叫ぶシーン、この小説全部がそうなんじゃないかって。生命の謎もこの世界の謎も私は誰かも何も知らないしわからないままなんじゃないかって、それは始まり（生）から終わり（死）までずっとです。たとえ輪廻を繰り返しても、永遠の命をえたとしてもです。 智也と容子のように、私は私を生きたいしそんな私以外にはなれないって、こんなにも爽快なんだって思います。何度読んでも未知の問いにあふれていて、何度読んでも勇気づけられて、何度読んでも仮説（この小説）にはこんなにも人を生き生きさせてしまう不思議な力があるのかって思います。

２０年前にベースを書き起こされたというのを知って驚きました。物理、犯罪、デジタル、次元 バーチャル、惑星の音、恋愛、性、意識と無意識、あの世、生命、情報、道教、生まれ変わり 美少女戦士…思いつくままこの本を語るキーワードをいくつか書いてみましたが、どれも色あせないし、なによりかなり早くからデジタルを小説に取り入れられてたのに驚いています。またとてもよみやすく サスペンス仕立てで奇想天外(同じようなものを読んだことがない)、そしてテンポがよく、もりこまれてるエピソードというか情報量がすごいです。また神と生命、情報に関する議論がおもしろくって、これはこの本でしか読めないと思います。また映像化したらすごいだろうなとおもうシーンが多くて脳内ですごかったです。 そういうとても理知的な面のある仮説小説なのですが…気がつくとなんども登場人物たちの言動に、なにかが決壊するみたいな涙が出かけて、容子の「理屈なんかもうたくさんよ」のところでは涙しました。そして智也のモールス信号のところでもっときました。なにか圧巻だったのです。そのへんがお勧めです。私は気がついたら自分自身のことが好きだって気分になったし 元気づけられました。だから、この二人がこの後どうなってくかも気になります。続編希望です！ またケプラーが音階化したという惑星の音のエピソードが随所に出てくるのですが とても聞いてみたいと思いました。なかなかうまく表現できないけど、この本はたくさんの星がそれぞれの音を奏でてるみたいな本だと思いました。普通の本はは一つのテーマ絞って書いてあると思います。でもこの本は時空の調査から出てきた仮説が音を鳴らしあって一冊になったみたいな躍動感、生命に満ちた仮説本だと思います。

森田健さんの本だったので購入しました。 読み始めたら、次が気になって、一気に読めました。物理的な現象から、スピリチュアルな内容まで盛り込まれ、発想の転換や新しい視点を発見出来ました。

高校生の時に自分が書いた台本みたいな稚拙な文章に、その頃の自分のことを思い出し、鳥肌が立ちました。

話の筋は幼稚です。しかし話の中に吸い込まれるというか同化できます。ノンフィクションです、と言われても納得できそうです。