最初、なぜ愛し合うものを傷つけなければ無いのかと思いました。そしてどうしようもない出来事に振り回されています。好きな人にちゃんと好きだと言えていないことはあるかもしれません。この小説は仮説小説だと書かれていますが、すごく優しいです。科学の記載はあっても難しいことは書いていません。データには基づいていますが、人の思いが結構、響いてきます。特に主人公の智也と容子に自分がなっている感じがします。いや、連続殺人犯にも強盗にもなってしまっています。小説を読んでこんなに悲しくてこんなに優しい気持ちになったのは長いこと無かったです。読んで良かったです。私はよく迷って決断を下せないでいますが、主人公の容子のセリフを事あるごとに思いだすんじゃないかと思います。そういう決断も有って良いんだと思いました。読み終わって表紙の手塚さんの絵をじっと見て感慨に浸ってしまいます。