佐藤賢一氏によるフランス史本の3作目(ダルタニャンもの、百年戦争もの)になるのだろうか、これぞ本命、フランス史である。本書のカペー朝からはじめ、おそらくブルボン朝までを扱うのであろう。「累代にわたる国造りの物語として、諸王の奮闘を描き出す試み」とのこと。手軽な新書という媒体でこのような取組をしてくれるのはありがたいことだ。
本書は王を単位とする紀伝体となっているのだが、フィリップ2世やルイ9世といった有能な王に多くの紙面が割かれている。製品版で250頁程度のためそれほど突っ込んだ内容にはなっていないが、それぞれの王が生き生きと描かれており、とても読みやすいしわかりやすい。フランスの歴史を知る格好の教材となるように思う。「新書ヨーロッパ史 中世篇」も併せて読むべきだろう。