科学の進歩によって人類は確実に豊かになってきたが、地球温暖化に代表される環境問題や、最近特に目にする機会が多い現代医学による様々な医療制度の問題などをみていると、人間が自然から遠ざかってしまったことが、いかに大変なことなのかを実感させられる。 この本は、自然と人間は本来一体であり、人間は自然の影響を受けながら、そのルールに従って生きているという当たり前の事実を思い出させてくれる。また、その中にこそ医療をはじめ様々な問題解決の核心があることを考えさせてくれ、たいへん感銘を受けた。 中国で古代にまとめられた医学書である『黄帝内経』の健康の哲学をもとに書かれているが、その考え方は日本でも昔から伝えられてきた自然な暮らしの智恵とも通じる部分があり、たいへん共感がもてる。昔の日本にもそれらの智恵の一部が伝わってきていたのかもしれない。 たくさんの病気克服を行ってきた気功師である著者が、『黄帝内経』の古代の智恵が現在でもまったく輝きを失っていないばかりか、現代医学をもっと進歩させる存在であると、優れた実践経験をもとに述べている。 私は、本物の気功師が病気を克服する能力やその効果については知っていたが、気功師が病気を治すときに使っている中医学の考え方を深く理解することができ、自分の生活にも活かせるたいへんためになる本であった。 実例や昔のエピソードなどが解りやすく紹介され、医学に詳しい人だけでなく、一般の健康を目指す人にも必見の書。