当初は買わないつもりでした。
『幻魔大戦』自体は私にとって非常に影響の強い作品でしたので、SUNDAY COMICS版はもちろんのこと、いくつかのバージョンをすでに持っていましたし、平井和正の小説も何度か読んだものでした。石森章太郎バージョンは、この最初のマンガだけでなく、『神話前夜の章』を3バージョン持っています。これ以上、手元に置いておく理由はありません。しかも文庫版です。いろいろ好みの問題はあるでしょうが、正直私はマンガの文庫版は好きではありません。せめてB6サイズ、できればやはり週刊誌サイズで読んでこそのマンガだと思っていますので、文庫は極力所有しないようにしています。
でも、帯に「幻の未収録ページ&平井和正特別寄稿収録!!」なんて書いてあるのを見つけてしまったら、もう駄目です。
ああ、手にしてしまった。
でも、でも、これはないでしょう。
確かに未収録ページはありました。これはネタバレにはならないと思うし、むしろ本の情報として大切だと思うので書いてしまいますが、未収録ページはたった2ページでした。
平井和正(うーん、この人まだ作家をしていたんだ)の特別寄稿も26文字×14行で、しかもこの最初の『幻魔大戦』の話ではなく、今自分が書いている『幻魔大戦』の話ではありませんか。
これらのために本体819円+税を出す価値があるのか。と思いながら買ってしまうのが、マニアの悲しい性です。
内容は今更という気がしますが、久しぶりに読んでみるとやはり面白いです。全宇宙を破壊しつくそうとする幻魔大王とその一族たちに、紆余曲折を経て立ち向かおうとする地球の超能力者たちの戦いが今まさに始まろうとするところで終わってしまいますが、そこまでの主人公らの巡り合いから超能力の目覚め、敵味方が錯綜する話などが幾重にも重なり合って、ついつい読み切ってしまいました。やはり40年前の平井和正と石森章太郎という二大才能がコラボレートした未曽有の作品だと思います。そして、これはやはり地球人は負けるしかないとわかってしまいます。そこのところがわかりながら、途中で終わってしまうというところで、この話は完結しているのだと思います。
特別寄稿で平井和正が、最近このコミック版のストーリーに決着をつけることができたと書いていますが、これはこのもともとの終わり方で正解なのだと思えてなりません。