現在の道路における自転車通行や行政の問題点をしっかりと指摘している。デタラメな乗り方をしている人や自動車のドライバーには是非読んでもらいたいところだが,そういう人に読ませるのは難しいだろう。正しい乗り方で自転車に乗るべきという考え方の人にとっては「よくぞ書いてくれた」という気持ちになれる。普段から自転車の正しい乗り方を気にしている人にとっては,目新しい情報は必ずしも多くない。しかしながら,細かい部分ではいろいろと知らなかった情報もあった。たとえば,路側帯の右側通行は,自分の感覚では明らかな「逆走」なのだが,法律を厳密に読むとこんな危険なことが許容されているのだそうだ。そして,そういうデタラメな行政を指摘した上で,筆者が「こうあるべき」と考える提案がなされている。やや贔屓の引き倒しの感があるが,傾聴するに値する。自転車に乗らないドライバーの人には興味のない話かもしれないが,そういう人には事故を未然に防ぐためにも(自動車の運転に問題があるとかいう意味ではなく,自転車に乗っている人の視点が理解できるという意味で),冷やかしで良いから是非読んでみてもらいたい。