学生の頃、ミルトンの失楽園を読み、その後キリスト教3大文学のうちまだ「神曲」「ファウスト」を読んでいないことに気がつき、購入に至った次第です。
訳の文体は非常に読みやすいのですが、訳者の方が比較文学専攻の権威の方というのが災いしてか、かなり一般の方々には不要な情報が多い気がしました。
例えば、当時の世情、キリスト教・ギリシャ神話等の注訳は作品背景を理解するのに必須ですが、森鴎外を筆頭に、個人的には日本文学系の方々の関わりに関する情報までは入らない気がしました。
とにかく、本編の内容よりも格段に注訳の話が多すぎ、ある意味逸脱気味な所が気になりました。
付随して、この版は初めて出版されてからの文庫化となるわけですが、3冊揃えると3000円くらいになり、ハードカヴァーと相違ないのでコスパ的に良いとは言い難いです。
それにしても、叙事詩形式の海外文学は韻なんかも考えられてるわけですから、どんなに上手い訳でも矢張り原文を読んだときの間隔と特に乖離は否めないのでしょうね。。。