飲食業界のプロデューサー・コンサルタントであり、自身も飲食店を営む著者が、経営的な観点から飲食店の実情と儲かる店へのヒントを纏めた本。
飲食業の材料費は売価(料理の値段)の30%であるということを何かの本で読んだ事があるが、その本では30%だから飲食業は儲かる、的なことを書いてあったと記憶する。 この30%という数字は、国際競争の渦中にある製造業のそれから比べるとかなり低い。 出店のリスクはあるものの、昼間のランチなどで賑わっているレストランはさぞ儲かっているだろうと思っていた。 その様な思い込みがあったため、本書のタイトルは気になった。
原価の構成比率率(成功している店の例)は以下の通り。
材料費30%
人件費30%
家賃10%
光熱費10%
償却費10%
利益10%
らしい。
このうち、固定費は「人件費」+「家賃」+「償却費」であり、休業日が決まっているとすれば「光熱費」も一定となるため、材料費のUPはすなわち利益を圧迫することになる。 材料費が40%占めればすなわち利益がゼロであることを意味している。 材料費30%が妥当な比率であるとともに、飲食業もやり方を間違えれば赤字経営になるということが分かった。
なお、タイトルにある「ランチが儲からない」のは昼は人手がかかり人件費が上がるためという。
飲食業の売上の公式は、
「客単価」x「人数」x「回転数」
で導き出せるが、ランチは客単価が安いことと、時間制限があるため、回転数も伸びず、自ずと売上金額も決まってくる。 回転数とウェイトレスの人数は反比例関係にあるのでバランスが重要と思う。
その一方、「飲み放題が儲かる」理由は、
(1) 飲み放題をコースとのあわせこみにすることにより、客単価が保証される。
(2)飲み放題をつけることにより、時間制限が出来、回転数に貢献する。
ということらしい。
なるほど。尤もである。