死神・千葉が担当する人間の最期の数週間を描いた短編集。
話の一つ一つが完結しているが、実はうまく繋がっていたりもする。
死神の力を使って戦ったりする話ではなく、ただ担当する人間の周りで観察してこのまま死ぬべきか生かすべきか死神達が判断を下す、と言うとてもシンプルな話である。
ただ、この千葉という死神が死神の中でもかなりユニークで、面白い。
日本語の言い回しの意味を100%理解しておらず、たまに真顔で聞き返してきたりする点、必要がないのに人間に協力する点、音楽のために温情を見せたりする点、と思いきや普通に裁きを下す点・・・さすが死神、何を考えているのか行動パターンがなかなか読めない。短編一つ一つの内容が最後まで読まないとどういう結末になるかわからないため、一気に読みたくなってしまう本だった。
また、著者の他の作品にも言えることだが、作品全体が文面、雰囲気等、一貫してとてもスタイリッシュで格好良い。そのせいか、余計に死神・千葉がクールで格好良く感じられる。
読んだ後、なんとも言えない不思議な小気味よさ、少し切なさが残る、是非お勧めしたい作品だと感じた。