如何せん、原書読破したのがかなり前になりますから間違いなどあればご容赦願いたいのですが、(読んだのは光文社版)ストーリー的にあらすじをある程度追っていくのにはちょうど良いのですが、内容的に拡大解釈しすぎ(?)な面がかなり気になった作品でした。
1番気になったのは、スメルジャコフが犯人とイワンに供述しているシーンでしょうか???「カラマーゾフの兄弟」のテーマは長編の中に色々なエッセンスがちりばめられているわけで、サスペンス的な一面も確かにあるのですが、原著では父殺しの犯人は最後まではっきりしなかったと思うのですが・・・。
懐古していく中で、他にネガティブ名面を描くと、矢張りこの作品の重要なテーマである聖書からの「ヨブ記」の引用が全く皆無だったと言うことも個人的にはかなり残念でした。
他、細かい点で言うと、ゾシマ長老が死んでからの腐敗臭のエピソード・イリョーシャの過酷な生活と、貧困からの影響か極度に屈折した彼の父の性格の描写などはかなりスポイルされている感じでした。
如何せん、「カラマーゾフの兄弟」は村上春樹氏の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」なんかでもちらっと出て来ますから、興味を持たれて手を出される方は少数ではないと思いますが、このシリーズコスパ面からしょうがないのかもしれませんが、せめて有識者の方の監修の所在をはっきりとして、後書きや解説なども加えて欲しい気持ちが以前にも増して高くなったような感じでした。
兄弟他、他の登場人物のキャラデザインは個人的には良く出来ていると思いますが、総合では★は4つと言うところですかね・・・。