伊坂幸太郎作品が大好きで、中でもこの作品はものすごく切ないのだけど大好きな作品。
(友達は暗いからあまり好きではないと言っていたけど...)
原作を読んでいて、内容がわかっていたので、どうやってそれを映像化するのかということを期待して観た。
あぁ、なるほどな...。
中村義洋監督は原作に忠実に描くことを大事にしたらしいけど、若干やはり原作と違うところはあっても、きっちりと映像化されてる。
「陽気なギャングが地球を回す」は原作とはかなり違っていて、まぁあれはあれでエンターテイメントとして楽しめたし、自分の大好きな俳優が揃っていたので悪くはなかったけど、でも原作のよさはあまり出ていないところがちょっと残念だったけど、「アヒルと鴨のコインロッカー」は原作のイメージを崩さず映像化されている。
俳優陣の演技もいい。
瑛太君て今まであまり好きではなかったのだけど、この役はすごくいい。
ブータン人の役の時はビジュアル的にちょっとおかしかったけど、河崎になりきった時の彼はすこぶるいい。
松田龍平とは親しかったから、だからこそできたと瑛太君本人も言っていたけど、本当にすばらしい。
彼の笑顔がまたせつなさを増幅させる。
松田龍平もいつも不気味な役ばかりやってあまり好きではなかったけど、今回は違和感なく役になりきっていたと思う。
大塚寧々も原作に忠実なキャスティングだった。
そして、 濱田岳のサエない普通の感じが椎名そのもので、これが普通にかっこいい俳優がやっていたらなんか違っていたと思う。
とにかく、観終わった後、せつなくてせつなくて、ボブ・ディランの「風に吹かれて」がさらにまたせつない気持ちにさせて、胸が塞がれる。
自分までボブ・ディランを口ずさんでしまいそうな気分になった。