UDONは讃岐香川だったが、今度は阿波踊りの徳島。土佐を舞台にしたドラマも現在放送中で、四国は最近露出度が高い(撮影中のNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の最初のロケ地は松山)。 映画の題名は龍子のセリフ「あなたが生まれたとき、おぎゃーと泣いた声で、ぱあっと明るく花が咲いたようだったの、だから咲子と名付けたのよ。…眉山をお父さんだと思って生きていこうと決めたの」から、だと思う。 ヒットした解夏(げげ)に続くさだまさしの原作。そこそこヒットした(興行収入12億円)ため、解夏と同じようにドラマ化の予定もある(フジTV 常盤貴子主演、富司純子)。 夫である故伊丹十三氏の死から10年でもあり、宮本信子の10年ぶりの映画出演が話題になったが、宮本信子の祖母？は徳島の出身で、この映画の撮影中に墓参りにも行ったらしい。ホーム？での撮影に全力を出しきれたようで、映画でもその存在感が光っていた。 特典映像でも宮本信子はこの年でこんないい役に巡り会うことはなかなかないので、是非やりたい役だったと語った。 医者(大沢たかお)にタンカを切るシーン、江戸っ子で鉄火肌の女将としての迫力、自らの運命を悟った表情は迫真の演技だったと思う。 反対に主演？の松嶋菜々子(咲子)はいまいちの印象。 ストーリーが「ビッグフィッシュ(ティム・バートン監督)」や「みなさんさようなら(ドゥニ・アルカン監督)」にも似ており、母の過去をたどることで当時の母の感情を追体験したり、病気に直面した母を見守る立場であるため、主役でありながら、傍観者のような立ち位置になってしまう。 しかもそんな状況のため表情が暗くなりがちで、その顔は醜いと感じる時さえあった(役にそこまで入り込める女優根性はさすがだが…、特典ディスクのメイキングの晴れやかな表情がまるで別人だった)。ラストの笑顔が唯一の救い。 9割方のシーンが徳島のロケで、徳島市の全面協力のもとエキストラは合計3万人も参加している。実際の阿波踊りでも見られない有名な連(阿波踊りのグループ)33連すべてが参加する総踊りは圧巻でさえある。 犬童監督らしい、きれいで隅々まで神経の行き届いた画面作りがされているが、主役が脇役に食われた感があり、見終わった感想もいまいちちぐはぐな印象。