今日の株主総会で夫の常勤取締役の定年が決定された。 あと、1年間は身分は楽にしてもらって継続して仕事ができるそうだけれど、初めて社長から打診されたときは心に波紋が浮んだそうだ。 サラリーマンの「定年」って、働き続けてきた人にとっては大きな人生の区切り、胸に去来するものは様々なものがあるはず。 しかし、中川夫妻は「楽しみ」だったそうだ。 「定年」で解放されたっぷりと与えられた時間を自分たちの暮らしの質を高めるために、そして、夢であったスペインでも過ごすために、日本の本拠地に選ばれた秦野市で住む魅力と醍醐味がたっぷりと描かれている。 富士山が見えて温泉があって新鮮な野菜と美味しい川魚。何より人々とのあったかいふれあいを読んでいると住みたくなってしまう。 しかも、家賃がとっても安い！安すぎる！住居費を抑えて暮らしの質を高めることができるなんて、今の首都圏では考えられないこと！ そこに気づいて一番に辿り着かれて旗を立ててくださった璃々さんご夫妻の情熱に拍手したい。 この聡明なカップルの生き方こそ、土地にしがみついて生きなければならなかった農業からサラリーマン化した現代の日本人にとっての問題解決の手引書であるともいえる。 璃々さんが念願だったイギリスのフラワースクールに留学されている間は、ひたすら写真を撮って町を足で調査してサポートされたというご主人の姿が掲載された写真から垣間見えてくる。 団塊の世代はもとより、より豊かな老いの暮らしを準備したい人にとって、今からでも間に合う価値観の転換や発想のエッセンスがたくさん詰まっている本である。