人間が頭で考える「論理」というものに、とても胡散臭さを感じていました。宗教も政治も、人間が作った論理であって、イラク戦争に対しても、他者への思いやりや情緒は感じられません。圧倒的に力が勝る米英が、弱者であるイラクに因縁をつけて始めたこの戦争は、「ならず者」の戦争としか感じられません。そして、開戦初期の日本人の根拠の無いイラクに対する憎しみにも、なぜそんなことになるのか、疑問を感じていました。誰もが日々実感出来るまでになってしまった地球温暖化なのに、身勝手な国があることにも呆れていました。この本を読むと、その理由がよくわかります。論理ではなく、また、独善的な宗教ではなく、自然と一体になりそれを愛でる情緒を持つ日本人こそが、これからのグローバルスタンダードをつくらなければならないと思います。その役割は政府や企業ではなく、日本人一人ひとりが担うんだということも、この本からよく分かりました。この本の「国家」とは政府のことではなく、この国の文化や歴史や価値観や情緒ですね。アメリカ型のグローバルスタンダードが正しいと言う限り、子ども達の間の深刻ないじめや大人に増加するうつ病もなくならないと思います。主義の右左問わず共感できる本です。