チベット体操が本になって紹介されるまでの経緯や、その後広まっていく様子などが、物語のように進んでいくので、すぐに読めてしまいます。
数千年も前から、しかし余りに奥地で行われていたものであったために、隠されていたわけでもないのに、外に広がりようがなかったこの若返りの秘儀を、イギリス人男性が持ち帰った事で世界中に広まったというお話しで、体操のやり方が写真付きなので分かりやすいです。
ただ、最後に編集者のあとがきとして、中国のチベット侵略により、120万人のチベットの人が暴力や死刑、投獄や拷問、飢餓や自殺などで亡くなり、チベットの修行僧たちが数千年も守ってきた思想や教えが、中国の侵攻によって経典をトイレットペーパーにされたり燃やされたりして冒涜され踏みにじられ、失われ、侵略前60万人いたチベットの僧侶のうち生存しているのは推定7000人のみにまで減ったと書かれていて、大まかな概要は知っていましたが、このチベット体操を通じてチベットの事を少し学んだあとで知ったこの事実は、余りに衝撃的でした。
他にも沢山あったであろうこれ程までに貴重なチベットのラマに伝わる教えを、この侵略によって失いつつある事をとても残念に思いますし、その中の貴重な一つであるこの「若返りの秘儀」だけでも(他にもあれば尚良)、こうして出版され後世に伝え残された事で、日本に居ながらにして知る事ができた事に感謝したいです。
ちなみに、この本には体操以外の秘儀も書いてあります。