最近になって村上春樹氏の作品を全部読んでみたくなり最初から読み始めている。この作品は,青春三部作といわれる初期の作品群の一つでデビュー作「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に続く作品だ。最初の2巻は感傷的に懐古的に読んだ。でもこの「羊をめぐる冒険」は段違いに面白かった。ワクワクしてのめり込みながら読みふけった。といってもそう長くはないのであっという間に読み終えてしまった,というべきだろう。相棒の鼠とこんな展開になるとは全く想像できなかった。背景のテーマも流れる空気感も最近の作品の底辺をなす物であり村上作品の中ではぜひ読むべき作品の一つだと思った。というか,面白いのでぜひ読んでほしい。物語は「ダンスダンスダンス」へ続くようなので,また著者が書いた順番に読み進めて行こうと思う。ところで本作は上下巻に分かれているが,上巻では謎解きへの旅立ちが描かれ,明るい希望に満ちた軽快なリズムが心地よい。