高橋克彦による「奥州」3部作、完結巻です。平安末期、奥州で権勢を誇った安倍氏と朝廷との争い、「前九年の役」「後三年の役」と奥州藤原氏を描いた「炎立つ」。奈良~平安初期、蝦夷の英雄・アテルイと征夷大将軍・坂上田村麻呂を描いた「火怨~北の耀星アテルイ」、そして戦国期の最後の合戦となった「九戸の乱」を描いた本作。
何れも「人としてのあるべき道」を行動を以て指し示し、その遺志が後の世に受け継がれていく事を信じて散っていく。
描写も秀逸で、合戦では手に汗を握り、そして男達の散り様に涙する。1巻と2巻は、この3巻のためだけにあったという事でしょう。
史実では「九戸のなで斬り」と言われた結末ですが、本作の結末は果たして?
読み応えのある戦記物をお探しならば、是非ご一読をお勧めします。