「どちらかが」の難易度アップ版です。2択から3択になります。結婚式で毒殺された被害者が飲まされる複雑な複数の毒入りカプセルの入手・移動ルートを拾い上げていく必要があり難易度アップの内容になっていますが、最後の最後で決定的な証拠(ピルケースに付いていた身元不明の指紋の存在)が加賀刑事から示され、これが最大の決め手になるのでその点にポイントをおいて推理(さらに袋とじのヒントも読めば)すれば本作の方が明快で易しいといえるかもしれません。
被害者は傲慢で野心家の作家で、犯人は将来の妻と禁断の怪しい関係にある兄か、作家名義会社のマネージャーか、それとも過去に恋愛関係にあった担当編集者か・・・。
加賀シリーズ第4作『悪意』と同様の、容疑者3人の手記のサイクルで描かれており、各容疑者の立場からいって都合の悪い部分は省略等されています(犯人がわかってしまう)ので、容疑者目線の記述部分はこの点も考慮して読む必要があります。
『どちらかが』同様、ラストは関係者全員が被害者宅に会することになり、加賀刑事と対決の解決編となっています。
一堂に会することになるお膳立ては各容疑者へ被害者の将来の妻が怪文書を送付することにより行われるのですが、この女性が最後にこんな役割を演じるところはピュアな不思議ちゃんでよくわからないところがありツッコミどころですが本筋にはあまり関係ないので・・・。
よくよく考えれば『どちらかが』も本作も普通に考えれば最も妥当な容疑者が犯人だと思います。 本作も純粋に推理を楽しみたい人にはおすすめの作品です。