小学高学年向けの全集で初めて読んだときから好きなお話しです。日本のシンデレラ物語とされますが、魔法使いのたぐいは登場しません。が、侍女の阿漕(あこぎ)の奮闘ぶりは、魔法を使う妖精たちに負けていません。原典の現代語訳というのでなく、田辺聖子さん流の味付けがされた作品で、登場人物がとても生き生きしています。通い婚が主流の平安朝のロマンスだからこそのハラハラドキドキする所や、原典にはない人物の性格付けなどで、とても楽しく面白くなっています。__
不遇の姫が思いがけない出会いで、大逆転の人生を手に入れるお話しとしては、この『落窪(おちくぼ)物語』のほかに『鉢(はち)かつぎ姫』があって、こちらも好きなお話しです。