アイデア創出の原理と方法を説いた良書です。
本自体がとても薄いですが、その後ろ3分の1が竹内均氏の解説なので、本文は本の厚さのわずか3分の2程度。本当にアッという間に読めてしまいました。しかしその薄さの中に必要且つ十分な内容がきちんとまとめられているから素晴らしい。要は第一に原理、第二に方法であり、それぞれは以下のとおり:
★アイデア作成の原理=(1)既存の要素の新しい組み合わせである。(2)新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見つけ出す才能により高められる。
★アイデア作成の方法(5つの段階)=(1)資料集め (2)資料の咀嚼 (3)放棄する(無意識に任せる) (4)ひらめく (5)検証する。具体化し、展開する。
竹内氏の解説も本書を価値を高めていると思う。
アイデアのバイブル的な著作である本書が広告業界のみならずどのような分野にでも当てはまる内容であることを、竹内氏の専門である自然科学分野での発見(「大陸移動説」や「種の起源」等)との共通性に照らして解説している。
また、「アイデアのつくり方」と原理的には同じという竹内氏の「私なりの方法」も素晴らしい。ひと月300枚(=1日に10枚)の原稿を二十数年も休まず書き続けていること。また、15分という時間の断片を使って作った3枚程度の原稿の断片を100くっつけることで、1冊の本を容易に作り上げてしまうこと等。最後に方法論や道具に凝って結局何もしないということのないよう「直ぐに仕事を始めよ」との言葉で、本末転倒とならぬよう戒めていることは全くそのとおりで、常に心しておかなければならないと感じました。