自分が子どものとき大好きだった一冊。絵はどれもじっとり湿っぽい色彩で、いかにも雨の夜の物語らしい。福音館こどものともブログで田島さんの「ほとんどの絵はモノクロで描いて、印刷指定で色をつけているんです」というインタビューを読んで驚いてしまった。そして肝心の読み聞かせ。今どきの子どもには受けないかと思いきや、田島征三さんの力強い絵と瀬田貞二さんのリズミカルな文体につられたのか、ぐいぐい引き込まれていた。締めの「さるの しっぽは、ぷつん」の語感には、がらがらどんの「ちょきん、ぱちん、すとん」に通じるものがある。また奥付の英訳タイトル "THE THIEF, THE WOLF AND THE DREADFUL LEAK" はナルニアの "The Lion, the Witch and the Wardrobe" を踏襲しているようで、なんとなく嬉しくなってしまった。