革の内側のポケットにペンを差し込んで全体を巻く――ロールペンケースの構造とはシンプルそのものです。しかし購入を思い立ち調べてみると、商品ごとに細かい形状の差があり、シンプル故にその差が使い勝手に大きな違いをもたらす事が容易に想像できました。
収納本数、ポケットの深さ、かぶせの長さと形状、幅広ポケットの有無、紐かベルトか、等々。
そんな数々の商品の中でこの土屋鞄のペンケースは私の使用環境に最も適した物と見込んで購入し、そして期待通りの製品でした。非常に満足しています。
具体的にはパイロットのカスタムレガンスの万年筆とボールペンが各1本、レガンス89s、それに蛍光ペンが3本です。蛍光ペン風情にポケットを1つずつあてがうのは違和感があったので、幅広ポケットは重宝です。高級筆記具以外の文房具を入れることもちゃんと想定している、実用性の高い設計と感じます。ちなみに幅広ポケットは蛍光ペン3本でぴったりの幅です。
次に個別のポケットの方ですが、購入前は太さの違う3本のペンが全てちゃんと収まるだろうかと心配でしたが、革の柔軟性のおかげでそれは杞憂でした。ペンごとに収納場所を決めてしまえばポケットの太さは各ペンの太さにぴったりになり、入らなかったり抜けてしまったり奥まで勝手に入ってしまったりというような事はありませんでした。それに付随して、かぶせの短さが指摘されているこの製品ですが、ショート軸のレガンス89sでもポケットの奥まで差し込まず、キャップの頭を上部に長めに出しておけば十分かぶせによる保護が可能です。
先述の通り、ロールペンケースは商品ごとに機能が大きく変わってきます。万人が納得する決定版のような物は無いと言えます。そこは各人の要件に寄るとして、仮にこの製品の仕様がそれにピタリと当てはまるとしたら、絶対に買いだと私は思います。作りはしっかりしているし、サイズも持ち歩くのに適当で、何より革の質感と匂いに嬉しくなりますし。おすすめです。