2歳の娘のために。日本と世界の童話で一話ずつ分冊になっているもの(分厚い一冊にまとめられていないもの)が欲しかったので、こちらを探していました。アニメ的でない絵とお話も、私が求めていたものです。少し難点を言えば、手のひらサイズで本が小さいこと。娘が好きな本を自分で読めるようにと分冊タイプを探したので、子供が手に取りやすいように、本のサイズも字ももっと大きい方が良かったです。背表紙は日本が水色、世界がピンクのようですが並びが不規則でバラバラなのが謎です(並べ替えました)。文字が読めない幼児でも背表紙でどの本か判るように、背表紙にワンポイントで表紙の絵の一部をつけるとか、背表紙の色をグラデーションにして、「ももたろうはピンク、うらしまたろうはオレンジ」と判断できるような工夫が欲しかったです。内容は、残酷な終わりはしっかり残酷。3匹の子ブタのうち2匹は食べられちゃうし(笑)、3匹目の豚は狼の方を食べてしまうし、人魚姫は泡となり、赤ずきんでは父親が狼を殺してじょきじょき腹を切ります。これらのラストについて、2歳児にこの残酷さはふさわしいのかと悩み、保育園の先生に相談したところ、「そのまま読んで大丈夫だと思います」とのこと。子供は深く考えず、そうなのか、と受け止めるそうです。なので、あくまで淡々と、フラットに、「しんじゃったんだって。」と、このまま読み聞かせるつもりです。3匹の豚の訳者はあとがきで、「ノルマン民族の侵入で生活を脅かされていたイングランドの人々の心情を反映した話で、ハッピーエンドに捻じ曲げる本もあるがそれは残念なことだ」と述べています。昔話には背景があり、歴史があり、夢は貧しさや日々の苦しみから生まれるもの。だから連綿と語り継がれ、それは浅薄に改変されるものではない、と痛感しました。色々な考え方があるとは思いますが、甘やかされる「こども」ではなく、深い感性の芽を持つ「ちいさな大人」のために、ふさわしい本だと思います。
「ひめは、じぶんのからだがあわになってゆくのをかんじました。ふしぎに、くるしくはありませんでした。『にんぎょひめさん、あなたもせいいっぱいいきて、そして、わたしたちとおなじ くうきのせいになったのね。』そのとたん、ひめのめから、あたたかいものがあふれてきたのです。それは、にんぎょのせかいにはない、なみだ…でした。(おしまい)」素晴らしいラストだと思います。