「顔に降りかかる雨」で江戸川乱歩賞を獲った桐野夏生氏。本作は、その翌年に出版されており、女探偵・村野ミロシリーズの第2弾に当たる。AVでレイプシーンを撮られ、失踪した一色レナを探すストーリーだが、全体的には作りが雑で、粗さが目立つ。ただ、書かれたのが1994年で、AV女優のスカウト、契約などの問題が最近、クローズアップされていることを考えれば、先見の明があり、また女性作家ならではと評価してもいい。粗雑さを1つ、例に取れば、P237に「ご希望のところを伺って」という台詞。これは「ご希望のところへお出でになって」が正しい日本語だろう。