豊後森藩江戸下屋敷の厩番だった赤目小籐次(五尺一寸(約153cm)の矮躯に大顔、大目玉、大耳、団子鼻、禿げ上がった額が特徴の初老の侍。無類の大酒飲み。父・伊蔵に鍛えられた一子相伝の秘剣・来島水軍流の達人)は、主君が江戸城中で同じ詰之間の四藩主に恥辱を受けたと聞き、仇を討つべく脱藩。四藩の大名行列を次々に襲い、そのシンボルともいえる御鑓先を奪うことで四藩主の謝罪を取りつけた。世にいう『御鑓拝借』事件だった。
事件後、新兵衛長屋に居を定めた小籐次は、父から仕込まれた研ぎ仕事と厩番時代に内職で励んだ竹細工で生計を立てる。美人で歌人の妻:おりょう、養子:駿太郎(12歳、小籐次を襲った刺客から託されたの子、当時は赤ん坊)、新兵衛長屋の面々ら、小籐次を取り巻く人たちと織りなす人間ドラマの新シリーズの第8弾。
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新年を迎えた小籐次一家と周りの人達の団欒あり、掏摸を捕まえた駿太郎の奉行所から報奨ありで、平和な正月風景。その中で、小籐次が刺客に襲われ、その雇い主がおりょうの実兄だった。おりょうの兄は、なぜ小籐次を狙うのか。そしてその結末は。。。
駿太郎の成長ぶり、晩年を迎え老い感じ始めた小籐次の対比が面白いですね。ただ、小籐次の来島水軍流の剣戟が少なくなったことが残念ですね。
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■本書の基本情報
・筆者:佐伯泰英(サエキ ヤスヒデ)
・略歴:1942年、北九州市生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。デビュー作『闘牛』以後、スペインをテーマにした作品を発表。'99年、初の時代小説『密命』を皮切りに次々と作品を刊行、時代小説の旗手として高い評価を得る。
・出版:文藝春秋
・発売:2017年7月
・ページ数:324p
■これまでに購読した佐伯泰英の著書
・「異風者」
・「密命」(全26巻)
・「夏目影二郎始末旅」…第14巻で読み止め
・「古着屋総兵衛影始末」(全11巻)
・「吉原裏同心」…第16巻で読み止め
・「居眠り磐音江戸草双紙」(全51巻)、「居眠り磐音江戸草双紙 読本」
・「空也十番勝負 青春篇」…第3巻まで
・「酔いどれ小藤次留書」(全20巻)
・「新・酔いどれ小藤次」…第7巻まで(本書)