「黄金の王と杖と灰色狼」に続く完結の後編。
昨年WEBでたまたま見かけ、数日かけて一気に読み切り、その少し後に今回の書籍化を知ったのですが、書き下ろしの後日譚もあるとはいえ、最近では電子書籍で済ませてしまう本も多い中、この作品は手元に大切に置いておきたいと思い、発売を今か今かと待っていました。
ファンタジー要素のあるBLものも最近増えていますが、ここまで1つの世界を丁寧に描いている作品には久しぶりに出会えた気がします。
同族しか愛せない異能の一族の最後の王とその異母兄のお話なので、その設定が苦手という方には仕方ないかもしれませんが、恋愛ものの要素だけではなく、孤独だった主人公の世界が変わったお話、滅びに向かう一族の最後の王が愛を得たお話、一族を支える灰色狼たちのお話として、あっという間にこの世界に引き込まれてしまいました。
灰色狼たちの名前の響きがとても好きだったので、WEB完結後の後日譚の中にあった名付けの儀式のお話も、とても嬉しかったです。