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レビュー
5
2016-12-02
- 商品の使いみち:趣味
- 商品を使う人:自分用
- 購入した回数:はじめて
- 今一番書けている経済小説家
- ☆ ハイエナ投資家と国家との争いは経済紙を読んでいると時々報道されていた。この小説のモデルとなった投資家は実在し，私もアルゼンチンの債務繰延（リスケ）問題などの報道で目にしたことがある。これは一種のディストレスト投資で債権者の権利自体はその取得方法を別にしても不当なものではない（そういえばナニワ金融道の最初の方の話で債権者の債権を安く買い叩き債権者集会をコントロールする話があった）。これに対しこうした投資家をハイエナと呼ぶ人々もいる。そういう投資家の権利を認めず途上国等の債務処理を円滑に進めることで最貧国から脱出させるという立場があること。それらのあまり表側に出ない事象を綿密かつ膨大な取材から物語として組み立てている黒木亮は間違いなく今一番欠けている経済小説家だと思う。他の小説家のような面白さは少し足りないかもしれないが，彼の小説に共通するスリリングな展開は健在である。せっかくの資源を指導者層が分捕るだけの国家，そうした国家の債務を買い叩くハイエナ投資家や法律家，それらに立ち向かう別の法律家やＮＧＯメンバーなど多彩な人物の思惑と行動が満ちた極めて質の高い経済エンターテイメントだと思う。
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