大学を1年間休学し、コンビニでバイトを始めたオタクの主人公。これにラジオの深夜放送のパーソナリティーが絡み、当然、芸の無いお笑い芸人などが登場するわけだが、笑えない芸人たちだから物語も面白くない。似たような話は「コンビニ人間」や「火花」さらに最近は「劇場」もあり、これらの狭間にあるともいえる本作は、見劣りするとしか言いようがない。おまけに独りよがりであり、若い人の言葉遣いを意識的に用いているようだが、こうした読者にも歓迎されるかどうか。作者には「一瞬の風になれ」という良い作品があるだけに残念。あとがきに、本来、これは習作だったと記されており、出版するべき書ではなかったのかもしれぬ。