毒を啖うて死なば本望―将軍家毒味役を務める御膳奉行・矢背蔵人介、またの名を「鬼役」。十八年間、鬼役を務めてきた蔵人介には、もう一つ「暗殺役」という隠れた顔があった。豊富な脇役たちを取り揃え、蔵人介の田宮流居合術の「剣」が巨悪を裁く壮大なシリーズ第十八弾。
本編では、一人息子の鐡太郎には武道の才なく、当主の蔵人介は、ついに自らの跡を継ぐ者として居候の卯三郎を試すことに。
卯三郎は命懸けの毒味、驚異の水練、死に物狂いの武芸、桁外れの早駆けを経て、友の敵を討ち、ついに矢背家の養子となり、鬼役の跡目を継ぐことに。
蔵人介の冷静沈着さと剣戟シーンの凄さはもちろんですが、、登場する薙刀の達人義母・志乃、弓の達人妻・幸恵、愛嬌たっぷりで脛切りの達人用人・串部六郎太、影の指令役の御小姓組番頭・橘右近、指令えお伝達する公方の尿筒持ち役・土田伝右衛門らとの織りなす人間模様も魅力。
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◎筆者:坂岡 真(サカオカ シン)、1961年、新潟県生まれ。11年の会社勤めを経て文筆の世界へ
・発行:光文社
・発売:2016年6月
・サイズ:文庫
・ページ数:316p
◎これまでに購読した坂岡真作品
・「鬼役」…本書17巻まで、鬼役外伝