舞台は大手総合電機・ソニックの子会社で中堅電機メーカである東京健電。営業部の万年係長・八角(50歳)が上司であるエリートでエース営業一課課長・坂戸(38歳)をパワハラで訴えた。これを審議した役員会は坂戸を人事部付にした。社内では、二人の間で何があったのか、噂される。そんな中、営業二課課長から一課課長になった原島は、小さなネジの仕入先を変更した。その理由は。。。
これをきっかけに、親会社を巻き込んだ大不祥事に発展していく。
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社内の様々な会議に絡めて登場する人物の苦悩、葛藤、決断、失望、策謀、企業人のあるべき姿と現実とのギャップ、登場人物誰もが主人公で、その生い立ち、人となり、考え方、家族とのふれあいを交えて展開する人間味あふれる描き方が、とてもユニークで面白かったです。
この物語の根幹に流れているのは、これか?
東京健電副社長・村西の父親(片田舎で小さな金属加工業を営む)が、生前に発した言葉
『客を大事にせん商売は滅びる』p361
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■本書の基本情報
・筆者:池井戸 潤[イケイド ジュン]
・略歴:1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。'98年、『果つる底なき』で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、'11年『下町ロケット』で直木賞を受賞。
・発行:集英社
・発売:2017年9月(第15刷)
・ページ数:494p
■これまでに購読した池井戸潤の著書
・銀翼のイカロス