NARUTOの原作が好きな人でしたら、岸本先生の書き下ろし表紙イラストのために購入する価値はあると思います。
中身は読まない方が安全です。
「秘伝シリーズ」と銘打った、原作#699話後のNARUTO世界を描いたノベライズ連作の第一作目です。
各作品ごとに違う小説作家を起用しており、この「カカシ秘伝」は劇場版NARUTOの「ブラッドプリズン」脚本を手掛けた直木賞作家の東山彰良氏が担当しております。
残念ながら今作の主役である「はたけカカシ」および周辺キャラクター達の性格や考え方、行動原理をしっかり把握したうえでの執筆ではなかったようで、原作ファンを冒頭からイライラさせてくれます。
「〇〇はこんな事言わない!」
を連発してしまいます。
こんなキャラじゃない、公式と銘打ってる作品でこんなセリフ言わせて欲しくない、こんな戦い方しない、とひたすらガッカリさせられます。
そのくせ、自分の手掛けた過去作の設定をうまいこと持ち出して来る図々しさには開いた口が塞がりませんでした。
そういう自己主張は原作付きノベライズではなく、自作品内だけでやって欲しい。
話の筋を組み立てるために、キャラを都合よく動かすタイプの作家さんなのでしょう。
原作で既にキャラクターとして成立している登場人物達の事を、深く理解してそれを活かして物語を紡ぐ原作付きノベライズには向いていないように感じました。
さすが直木賞作家様なだけあって、お話自体はさすがに面白かったです。
ただ、登場人物がNARUTOキャラではありませんでした。
なので★-4です。残りの★1は表紙イラストに。
この作家さんに、NARUTOのコミックス全72巻をプレゼントして欲しいです。
出来れば原作付きのノベライズではなく、自作品で活躍していってほしい作家さんです。