ツェッペリンはフルコンプでオリジナルアルバムを学生時代に蒐集し、その後、気になるリマスター盤は買い足していった経緯があるのであるが、ロックジャンルでいうと、久しぶりに1990年代後半のジミヘンのリマスターや2000年以降の至極遅かったビートルズのリマスター盤と同等の感動を覚えた。
1990年代後半より、あらゆる音楽ジャンルでリマスターは邦楽のかなりマニアな盤でさえもリリースされるようになったわけであるが、分離・音圧・各楽器のクリアネスの向上が殆どで、特に音圧重視のものが大部分を占めていたと言っても過言ではなかろう。 必然的に、エンジニアの力量やマスターテープの保存具合や当時の録音形態によって、アーティストによってリマスターの恩恵は天と地ほどの差があるわけであるが、この盤はトータル的なバランスが非常に秀逸であるといってよい。
よくできたリマスターでさえも、何回かリマスターを経てきたような名盤は個々によってボーカルと各種楽器のバランスが不協和音に感じるものも少なくないわけで、そういった意味では近年では最高クラスのリマスター盤であるといえる。
ただ、ツェッペリンに関していえば、今回の新リマスターシリーズのコンパニオンディスクはファースト以外、別テイク構成が殆どで、この辺りはコアなファンでない限り必然性はあまり見受けられないような気もしなくはない。
しかしながら、数度リマスターを経てきた悪影響か、盤によっては価格の下落がショップにより激しいものもあり、この盤もポイントを考慮すれば輸入盤クラスの2000円以下で購入できたことは至極ありがたかった。
スリーブケースの使用は、輸入盤ではビニール等の保護素材が皆無でむき出しでディスクが収納されているため、新品購入でも取り出した際からディスクに傷がついていることはさほど珍しくないが、輸入盤と同仕様で価格差がないというのであればかなり得した気分になる。
ジャケットはまたヒプノシスで流石にLP版と比較すると、迫力はないが、輸入盤と比較すると出来は丁寧な印象を受ける。
総括すると、1994年のリマスターと比較すれば、買い直し価値は大きいような気はするが、リマスターの好き嫌いにも個人差があるがため、複数枚リマスター違いを所有されている方には微妙な点があるかもしれない一方、それ以前の盤や初購入の方にはかなりお勧めできる1枚であるような気はする。