私小説のように思考過程を親切丁寧に書いてくれていて、主人公の思考を追いながら物語は進みます。
古代戦士の名誉や封建時代の騎士道・武士道、近代の定住民故郷観、現代軍の愛国心・戦友意識とは無縁です。国家総力戦を、魔法兵職能集団・無国籍・無信仰・時代を超越した法律家の目で世界大戦を解説していきます。経済的合理性と書かれていますから、商業権力闘争と戦争経済、軍事バランスオブパワー政策の文脈で読めば理解できます。通史的文明観としての民族・宗教・文化・定住民国家観ではなく、行商人・資源商・市場商の経済思想かと推測します。日本列島には黒魔術や錬金術はなく、黒白鳥思想は少ないので理解不能な部分も多いですが、雰囲気は伝わってきます。 魔女が苦手な方は、超能力兵士・人工頭脳・従軍法律家の戦争物語として読み進めていけます。