『香水を誕生させる植物をフランスのトップクラス調香師38人が解説する独創的な図鑑』
と帯紙の説明の通りで、特に『独創的な図鑑』というのに頷ける一冊です。
『図鑑』ではあるのですが理路整然と展開するのではなく、
『香料植物図鑑1/38種類』『香料植物図鑑2/33種類』と分けられ、
『1』は解説文、写真に2ページ、その後に調香師の解説がコラムのように2ページと計4ページで1つの植物を記述。
ここでの掲載はイランイラン、サンダルウッド、ジャスミン、チュベローズ、バイオレット、バニラ、ローズなど
香料として外せないものが主流。
『2』はシンプルな解説文、写真1点、1ページに2から3の植物と端折られた感じです。
ジュニパーベリー、フェンネル、カーネーション、ロータス、オークモス、ミルラ、レモングラス、ローズマリー、タイムなど。
こちらもメジャーなものが多いですが、調香師が解説に選択しなかったものが『2』。
タイトルで『調香師が語る…』とあるように、そこに重点を置いたためにやや変則的な構成になっているようです。
●全体的に写真やイラストは多めで、読み応えはある方ですが、レイアウトが雑多で、
調香師の解説ページでは、写真に文字がかぶることでなめらかに読めない配置もあります。
●翻訳は香りに従事された方なので専門的な部分では伝わりやすいですが、
売りである調香師のページについては機械的でやや違和感があります(常体で統一というのもあります)。
●ユニークな点は、精油や植物を使用したフランス流クッキングレシピ。
●冒頭には、エリザベット・ド・フェドーによる40ページ弱の
『人類が育んできた香水の物語とその役割』は、香水の歴史が短時間で分かります。
●掲載された香水の一覧が発売年とともに記載されていますが、肝心な掲載ページの表示がないのが残念。
●読みはじめは少し読みにくさを感じるデザイン、レイアウトですが、
香水が好きな方にはまた違った角度から香りを楽しめる内容でおすすめです。